
『ニーベルングの指環』第3日:《神々の黄昏》
【第3幕・第1場】
山沿いにライン川が流れる舞台。
ラインの娘たちがラインの黄金がジークフリートによって戻されるよう祈っています。
グンターの催した狩りで道に迷ったジークフリートが川べりに降りてきます。
ラインの娘たちが指環を返すように求められ手放す気になりかけましたが、手放さないと命を落とすと予言されて、怖れを知らない性格から拒絶します。
ラインの娘たちは、誇り高い女性が言い分を聴いてくれるからとジークフリートを残して去ります。
【第3幕・第2場】
一人残ったジークフリートをハーゲンが見付け、狩の一行とも再会して宴が始まります。
ジークフリート暗殺の密約も有ってふさぎこんでいるグンターをジークフリートは慰めようと、鳥の声を回するようになった経緯を歌います。
途中でグンターに忘れ薬の解毒薬を飲まされます。
記憶が戻ると彼はブリュンヒルデのことを思い出し、岩山のブリュンヒルデを目覚めさせ抱いたことを歌います。
これを聴いたハーゲンは、これぞ偽誓の自白だとジークフリートの背中を槍で突き刺します。
ジークフリートはブリュンヒルデを讃えながら息絶えます。
ハーゲンは館の方へ去ってゆき、家臣たちはジークフリートを盾に乗せて後を追います。
「ジークフリートの葬送行進曲」が流れる中、遺体がギービヒ家の館に運ばれます。
【第3幕・第3場】
舞台はギービヒの館。
ラインの方へ歩いて行くブリュンヒルデらしい女性を見かけたグートルーネが部屋から出てきます。
ハーゲンが戻って来て、帰って来た夫に挨拶せよと言います。
やがてジークフリートの亡きがらが到着し、その下手人はハーゲンと知られます。
ハーゲンは悪びれるどころか平然と指輪を要求してグンターと争いになり、グンターを一撃のもとに倒します。
ハーゲンが指輪に手を伸ばすと、亡きがらの手が持ち上がって彼を脅かします。
ラインの娘たちからすべてを聴いたブリュンヒルデは戻って来て、自分こそがジークフリートの正統な妻であったことを明らかにし、夫ジークフリートの後を追って自己犠牲の死を遂げるため、その遺体の周りに薪を積んで火を放ちました。
忘れ薬のために妻を欺いたが、神々から託された偉業のために呪いの犠牲になったジークフリートをブリュンヒルデは讃え、父ヴォータンに向かって、今こそ憩いにつくが良いと引導を渡します。
そして、ラインの娘たちには、自分の亡きがらから炎で清められた指輪を取ってラインの流れに戻すが良い、と言って愛馬グラーネとともに火中に飛び込みます。
炎はギービヒの館に燃え移り、さらに彼方の神々の居城ヴァルハラにも燃え移り、神々が火に包まれます。
ラインの娘たちはその中で指環を奪還し、指環を追ったハーゲンは溺れ死に、指輪の呪いは消え、神々の栄華は終焉しました。
録音:1964年5月~6月、10月~11月 ゾフィエンザール(Sofiensaal)ウィーン